
ギター屋をやっていると数えきれないほどのギターを見てきますが、その中でもロックの歴史を語るうえで外せないモデルがあります。
それがGibson SGです。鋭いダブルカッタウェイのボディ、薄く軽い構造、そして荒々しく前に出るサウンド。
SGはまさに「ロックのために生まれたようなギター」と言って過言ではないと思います!
小生が初めて自分のお金で買ったのもOrvillのSGでした。今は68年をたまに使っています。
実はSGは最初からSGという名前で登場したわけではありません。
1961年、GibsonはそれまでのLes Paulモデルを大きくデザイン変更しました。
当時のレスポールは音は素晴らしいものの、重くてハイポジションが弾きにくいという声もありました。
そこでGibsonは、より軽く、より演奏性の高いギターとして新しいデザインを採用します。
これが現在のSGの形です。しかし当時はまだ「Les Paul」の名前で販売されていました。
ところがLes Paul本人は、この新しいデザインをあまり気に入っていなかったと言われています。
契約終了も重なり、1963年頃からこのモデルは「SG(Solid Guitar)」という名称に変更されました。
こうしてSGという名前が正式に誕生します。
SGの最大の特徴はその弾きやすさです。
非常に薄いマホガニーボディに、深くえぐられたダブルカッタウェイ。
これによりハイポジションまでストレスなくアクセスできます。
重量も軽く、長時間の演奏でも疲れにくい設計になっています。
同じハムバッカーピックアップを搭載していても、レスポールとはキャラクターが異なり、SGはより鋭くアグレッシブで、ミッドレンジが前に出るロック向きのサウンドを持っています。
AC/DCのアンガス・ヤングはSGの代名詞とも言える存在で、ステージを走り回りながらSGをかき鳴らす姿はロック史に残る名シーンでしょう。
またBlack Sabbathのトニー・アイオミもSGの象徴的プレイヤーのひとりです。
彼の重くダークなリフはSGの太く荒々しいトーンと完璧にマッチし、ヘヴィメタルの礎を築きました。
さらに近年ではデレク・トラックスのようなプレイヤーがSGを使い、スライドギターの新しい可能性を示していますね。
ヴィンテージギターの視点で見ると、SGは年代ごとの特徴が比較的はっきりしているモデルでもあります。
1961年から1964年頃までの初期SGは非常に軽量でレスポンスが速く、ヴィンテージ市場でも特に人気があります。
その後1965年頃からはラージピックガード仕様へと変化し、外観も少しモダンな印象になります。
1970年代に入ると構造も変化し、よりパワフルでタフなサウンドの個体が多くなります。
初めてSGを手にした人の中には「軽すぎて頼りない」「ヘッド落ちが・・・」と嘆く方もいると思います。
しかし弾き込んでいくうちに、SGならではの音の魅力に気付く人がとても多いのも事実です。
魅力に気づく前に手放してしまう方も多いですよね。
音の立ち上がりが速く、荒々しく、バンドの中で前に出るサウンド。
これはレスポールともストラトとも違う、SGだけが持つ個性です。
ロックの歴史の中で長く愛され続けているギターには、やはりそれだけの理由があります。
シンプルで攻撃的、そしてどこか危うさを感じさせるそのデザインとサウンド。
Gibson SGは今もなお、多くのギタリストを魅了し続けているロックギターの名機だと思います。













